先日、作文を添削してほしいと生徒に頼まれて確認した際に、内容は特に問題なかったのですが、
「完璧」を完「壁」としてしまっている誤字があったので指摘したという出来事がありました。同じ日に、別の生徒が「塾」が「熟」、成績が成「積」となってしまう誤字を書いていました。誤字に限らず
間違いというのは、成長のチャンスですので、アルファでは、しっかりと直したうえで、自分の言葉の力を充実させてもらえるようにしています。辞書で調べる、間違いノートに書いておく、などの方法をとりますが、今回は、語源や漢字の由来を知ってもらうというアプローチも併用しました。

「璧」の例
まずは「完璧」ですが、これは中国で昔起こった出来事に由来する、いわゆる故事成語(こじせいご)です。「璧」というのは、玉(ぎょく)という宝石でつくられた、真ん中に穴の開いたドーナツ状の飾りです。中国の戦国時代(紀元前403年から紀元前221年)に
趙(ちょう)という国の藺相如(りんしょうじょ)という人物が、和氏の璧(かしのへき)という宝を無事に持ち帰ったことに由来します。大国の秦(しん)の王に所有している和氏の璧を見せてほしい言われた趙の王の命令で、藺相如が和氏の璧を持って秦の王のもとに行きます。和氏の璧を見た秦の王は「15の城と引き換えに和氏の璧を譲ってほしい」と言ってきます。秦の王がうその提案をして宝を奪おうとしていることを見抜いた藺相如は、「和氏の璧には傷がついている場所があるので、それをお見せします」と言って取り返すと、髪を逆立てて怒りながら「和氏の璧もろとも柱に突っ込んで死ぬ」と秦王を脅迫して傷一つ付けずに和氏の璧を趙に持ち帰ることに成功します。この出来事から、欠点が一つもないという「完璧」という言葉が生まれたのだそうです。由来を知っていれば、
「玉」で出来た宝の話ですから「壁」ではなく「璧」だとわかるわけです。
さて、
「塾」の方は「門の両脇に設けられた部屋」を意味する字だそうで、ですから建物に関係するので下に「土」と付きます。そしてその部屋で子弟などに学問を教えたというところから、私設の学校という意味になっていったのだそうです。対して「熟」の方は「良く煮込む」という意味があるので「火」を表す「灬(れんが、れっか)」という部首が使われています。
成績の「績」は「糸をつむぐ」という意味の字で、そこから「ものを作り上げる、上手に糸をつむぐ」という意味を経て「仕事のできばえ、成果」という意味合いになっていたのだそうです。ですから、「成績」「業績」「功績」などは「積」ではなく「績」と「いとへん」が使われているということのようです。
このように、言葉や漢字の由来、成り立ちを知ることで、楽しく多くの知識を増やせる上に、効率よく誤字を減らせる場合があるので、うまく活用してみてはいかがでしょうか。お読みいただきありがとうございました。
本日は、故事成語にまつわるクイズです。今回ご紹介した「完璧」という言葉の由来となった出来事で、藺相如が怒りで髪を逆立てていた様子から生まれた故事成語は「〇髪〇を衝く(つく)」の〇の部分に入る漢字は何でしょう?
答えは「怒髪天を衝く(どはつてんをつく)」でした。クイズに挑戦して頂いてありがとうございました!
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